実写 心が叫びたがってるんだ。感想

※前半はネタバレなしで感想を書きます。

3回観た段階での感想です。いやー、同じ映画を3回観に行くことはあるけど、1週目で3回観たのは初めてだわー。

 

見終わった後、心が温かくなるような、言葉を大切にしようと思うような、そんな映画でした。人のデリケートな部分の心情が丁寧に描かれていました。

「この夏1番泣ける感動作!」みたいなことを制作側が出してきているけど、押しつけがましい感動ではなくて、じんわりと心が温かくなった。何度か泣いた。

この感動を前面に出している感じとか、「最高の失恋はあなたをきっと強くする」とか「好きと言えない4人の物語」とかのキャッチコピー、間違ってはいないけどなんかなー...言葉の大切さが大きなテーマだとパンフレットにも書いてあるだし、それで宣伝出来なかったのがなーーー。

この映画は、幼い頃に自分のおしゃべりが原因で両親が離婚し、それから言葉を発すると腹痛が起きて話すことが出来なくなってしまった成瀬順が、クラスメイトの坂上拓実、仁藤菜月、田崎大樹とふれあい交流会の実行委員に指名され、ミュージカルの企画や準備をしながら成長していく物語。順だけでなく、他の3人も心に傷を負っていたりトラウマを抱えていて、4人それぞれ、自分や相手と向き合いながら一歩踏み出していく物語です。言葉の大切さが大きなテーマになっていて、考えさせられる部分も何度もありました。

健人に関しては、好き!というフィルターがかかってしまっているから、フラットな状態で見れません。本当は、健人くんは見事に拓実になってた!と言った方が良いんだろうけど、そんな器用なことはできなくて。かっこいい!って思った瞬間たくさんあったし...それでもクライマックスのミュージカルシーンは、わー♡ 健人キラキラしてるーかっこいいーーーー♡ ってそれまでのシーン以上に思ったから、それまではどのシーンもだいぶキラキラを抑えていたのかも。

ミュージカルシーンすごく良くて、健人は本当に王子様だし、芳根ちゃんは綺麗な歌声で引き込まれた。知っている曲ばかりだから聞きやすいし、歌詞をしっかりと噛みしめながら見ていると涙が溢れた。最後は2曲をマッシュアップしているからすべてを聞き取るのは難しいけど、クラスメイトの顔がアップになって、みんなの思いが一つになるのが伝わってきて、映画の中だけでなく、この作品を作るために、みんなが一つになって頑張ってきたんだろうなあという思いもあって泣けた。

ネタバレではない、印象に残った場面は、

  • ママチャリでサドルそんなに上げる?脚長い。かっこいい。
  • アコーディオン弾きながら歌ってる姿、はいこれ一目惚れするやつ~!
  • 「歌ってみるのもありかもよ」はいこれ恋するやつ~!
  • コンビニから出てきた姿かっこいい
  • その直後の後姿もかっこいい。肩幅!
  • おばあちゃんにいいから出て行ってよ~みたいなのかわいい
  • 屋上での「マジか」、やばいこれ恋するやつ~!ここの表情が1番好き!
  • お風呂上がりの拓実ー♡
  • 健人が和室にいる姿なんか新鮮で良い
  • ピアノ弾いて話してる姿も見惚れる。健人は本当にピアノが上手だから、代役いないし健人が弾いてる姿を映せるのすごい武器
  • 順が拓実のことを思い返してるシーン(?)、素敵な健人が次から次に出てきてファンが編集したここさけ健人一押しシーン集みたいな作りがたまらない。(でも「マジか」のシーン入ってないの悲しい)
  • 自転車の置き方!激しすぎ!笑
  • ミュージカルシーンは本当に王子様!健人くん王子様!!!

って感じ。頭の悪そうな感想になってしまった。

悩みやトラウマや不安を抱えている4人それぞれの気持ちがすごく伝わってきて、それでも一歩前に踏み出そうとしている姿に、周りの人たちのおかげで一歩踏み出すことが出来た姿に、心がじんわり温かくなった。

ミュージカルシーンが特に好きなの~。全体的に話とか演出もすごく素敵だけど、王子様役やってる健人たまらない!ミュージカルシーンは監督にここはケンティでと言われたらしく、仕草がめちゃくちゃ綺麗。髪を耳にかけて王子様役さ何度見てもかっこよくて綺麗で涙出る。衣装もよく似合ってて、普通あの衣装を舞台仕様のメイクなしとかで着たらちょっと違和感ありそうだけど健人完璧に着こなせてるから!アップになっても違和感なし!髪を耳にかけてあのハットかぶってる姿もたまらない。ターンも綺麗。すべての仕草が指先まで綺麗。ハァーーーー♡健人くんマジ王子様♡っていい大人とは思えない感想になる。マジ王子様♡

拓実役として健人を選んでくださった監督に本当にありがとうございました!健人に王子様役でミュージカルやってほしいと健人を好きになったときから思っていて、夢叶った~~って何度見ても泣ける。

健人だけでなく、芳根ちゃん、杏奈ちゃん、寛一郎くんもすごく良くて、みんなに引き込まれた。良々も良かった~。先生結構強引で、おいおいおい…って普通ならなるところを、良々のあの雰囲気があるから「まぁ仕方がないか」ってみんながなるのには納得できた。

 

※以下ネタバレあり

まぁいろいろつっこみどころもあるんだけど、しまっちょ(良々)の「ミュージカルには奇跡が起こる」という言葉でいろいろオッケーオッケーとなってる。そんな長いミュージカルではないはずなのに始まってる段階でも拓実が順を探してて間に合わないよーって感じだけど、良いタイミングで戻ってこれて良かったよ。ミュージカルには奇跡が起こるからね、いいの。

私は順のことはあまり好きではなくて、菜月いいこ!って何度も思ったから、巧実が菜月のことを好きなのは良かった。最初それを知ったときは「そっちか!」って思ったけど、よく考えたら順に対してはスマートなふるまいをしている拓実も、菜月に対してはどこかぎこちなかったりするから、そういうことなのかなあ?と。まあ元カノだからぎこちないのかな?って思ったんだけどね。

菜月が田崎くんの陰口言ってる人たちを見て「直接言えばいいのに...」って言った時の拓実の顔も、「こういうところ好きだな~」とか「こういうところ好きだったな~」とか「菜月らしいな~」とかどういう風にも取れる。

菜月は、拓実は順が好きという確信に近いものをもっているのに「気持ちがわからない...」と言うのなんで?と思うけど、菜月からしてみても、拓実の目線が優しかったり、フォローしてくれたり、両親の離婚のこと教えてくれたりと、この人なんで私にこんなこと...?ってなったんだろうなあ。罪な男だねぇ拓実くん。でもホント、菜月は素敵な女の子だから、拓実と両想いなの分かって嬉しい。

順はよく言えば純粋、悪く言えば幼稚。 毎日話しかけてくれてた菜月に対してほとんど目も合わさないような順が、拓実にメールしてって言われてからの怒涛のメール攻撃を見て、うわーガツガツ!って思ったし、その自分の話をミュージカルにしたい、して!って言いだした時も、拓実が戸惑ってるのに歌を何度も歌ってけしかけたり土下座したりなんとまあ主張が強い子...って思った。さくっと主役に手を上げるしね。まぁそれは全部相手が自分の気持ちや言いたいことを分かってくれた拓実だったからなのかな。愛はパワーだね。

主役に立候補したのに本番前日に拓実が菜月に告白しているのを聞いて、ショックで歌えなくなって廃ホテルに籠るのも、声でなくなったのは仕方がないけど、逃げて隠れるのは自分勝手ねと思う。まあ大事な発表の前に人間関係が変わるようなこと言っちゃう拓実も、今まで普通にできてたのに好きの気持ちが抑えきれなくて避けるようになっちゃった菜月も 幼いんだけど、高校生だからそういうものなのかも。

順に対して苦手だなと思う要素は結構あるけど、芳根ちゃんが魅力的に演じていたからか嫌悪感を抱くこともなく、優しい気持ちで見れた。一つを除いては。廃ホテルで拓実に気持ちをぶつけるシーン、途中まではそうだよね~確かに巧実はあれ思わせぶりだったよね~ひどいよね~好きになっちゃうよね~と、順の気持ちに寄り添って見ていたんだけど、「きもいんだよ」はない。言ったらいけない、今まであれだけ良くしてくれた人に。それはひどい。

そして良いタイミングで戻ってこれるんだけど、今まで代役をやってくれた菜月がいるのに、最後の一番いいところで主演交代しておいしいところ持ってっちゃうのがね...菜月ちゃんあの緑のスタイル悪く見える衣装より、白いワンピース着て拓実がやる王子様と歌って踊る方が良いと思うのに、順が戻ってきたことを心から喜んで主役バトンタッチするんだよーなんていい子なの。

菜月ちゃんはずっといいこ。本番前日に気持ちが抑えきれなくてああいう態度しちゃったり、(言い方悪いかもだけど)スクールカーストでの位置が下の拓実のことを同級生とか友達に好きってはっきり言えない弱さはあるけど、でも根本的には優しくて真面目でいいこで私は好き。「暇ならふれ交の準備手伝って」と田崎に言うところも優しいよね。田崎もそう言ってもらえたことで、入りやすかったと思う。あれだけ反対してキレてた手前、自分ではいけないよね。

順はおいしいところ取るなあとは思うけど、それでもうっとりしてしまう芳根ちゃんの歌声。そして表情。順もいろいろ解き放たれて良い顔で歌うんだよね。すごく素敵だった。だから憎めない。

菜月の拓実に対する気持ちは分かりやすい。拓実の気持ちは拓実が口に出すまで分からなかった。順の気持ちの変化はすごくよく分かって、自分の考えてることわかってくれたところ、メールしてって言ってくれたところとかでだいぶ好意は持ってたと思うけど、好きとハッキリしたのは病院でお母さんに明るい子ですって言ってくれたところかな?帰り道に順の頭の中ではミュージカルの話に王子様が出てきて、拓実が王子様役なのに、順の演じる少女が王子様と出会って恋におちるところ書いてて、ハァーーーーこれ拓実のこと好きって分かる話じゃん恥ずかしいーーーーって、もだもだしてしまう。

何度私もそりゃ好きになるよ〜ってなったか。順の拓実へのときめきポイント全部わかる。拓実の気持ちを知って逃げ出す時に拓実の素敵なシーンがいくつか流れるの、ホント私のためかと思うよ(マジか、入ってないけど!1番素敵なのに!)。順の頭の中では拓実が王子様なんだよね。私の中でもそうだよ。

田崎の気持ちは、全然気づかなかった。私が拓実しか見てなかったからなのかな?最後のエンドロールのあとに「成瀬順好きだーー」って言いだして、えええええええ?ってなった。3回目でなんとなく田崎の心の動きがわかったかな。あと、田崎には三嶋くんがいてくれてよかったなーって何度も思った。ああいうときに、必ず味方になってくれる人がいるのってすごく救われると思う。

三嶋くんだけでなく、拓実にも菜月にもいつも良くしてくれてる友達がいて良かった。拓実は地味な設定だけど私から見るとすごく素敵で、でも友達2人を見るとああそういうグループに属してる人ねと分かりやすかった。拓ちゃん拓ちゃん言われてるの愛されてるっぽくて良かった。 

順のいいなって思ったところは、DTMの人がアレンジした曲を聴いた時も、田崎がミュージカルのタイトルを言ったときも、拓実がこんなのはどう?ってピアノを弾いて聞かせたときも、否定しないところ。すぐ拍手して、すごい!素敵!って言うの。そういうところ、すごく素敵で魅力的。あと、廃ホテルで拓実に告白して「ありがとう。でも俺、仁藤が好きだ」って言われた後に「知ってる」って笑顔で受け入れたところもすごく素敵だった。ここが素敵だったから、幼いなーって思ってた今までの順の行動も全部私も受け入れられたのかも。

順のお母さんと、拓実の両親のやりとりも良かった。この物語はみんなが救われる結末だから、見終わったあとに心が温かくなる。

順のお母さんは見ていられなくなって退出するのを引き留めてくれた拓実のご両親に救われた(だから順の歌声も聞くことができた)、野球部の後輩くんは田崎くんの行動に納得できなくてセットを壊したけど直すのを手伝わせてもらったことできっと救われた、順は好きな拓実には振られてしまったけどミュージカル成功したし田崎くんの気持ちを聞いて救われた部分もあると思う。

 

 

この映画で私の心に一番ぐっときたのは、廃ホテルのシーン。

「俺を傷つけてもいいから、思ってること聞かせて」と拓実が言って、順が思っていることをばーーーーって言うシーン。きもいとまで言われても、言い返したり言い訳したりしないでずっと優しい目でしっかりその言葉を受け止めてる姿、「私のせいじゃなくて私のおかげ...?」という順の言葉、最後に「坂上拓実くんが好き...」と言われて、すぐ断るのではなくて「ありがとう」と受け入れる拓実。

ひどいこと言われても、すべて受け止める拓実の姿を見て、私は健人のこの言葉を思い出した。

オレは極力、向こうが(言葉の)ナイフを出してきても花束を出してきたつもりだけど、それでも交われなかった人はいましたね。(QLAP2017/6/15発売)

これだけでなく、健人はインタビューとかで「言葉はナイフにも花束にもなる」と言っていて、このことを思い出すシーンだった。

私は目には目をの人間で、私に悪意を向けてくる人には悪意で返してしまうんだけど、健人見てるとそういうの良くないな~健人みたいになれるように努力しようかなって思う部分が多くて。だからこのシーンは私の健人の尊敬する部分とも重なって、すごく心にきた。それから、“せい”と“おかげ”は真逆なんだよね。考え方次第で大きく変わる。何かあっても、“せい”ではなく、“おかげ”って思えるような人間になりたいと思った。

 

そんな感じで素敵な映画でした。

健人本当に素敵だから!普段のシーンもかっこいいところたくさんあるし、とにかく王子様役めちゃくちゃかっこいいから!!!あと、屋上での「マジか」と、コンビニから出てくるところね!最重要ときめきポイント。

健人が王子様みたいな役をやるミュージカルのお仕事来ないかな~。王子様ではないけど、レ・ミゼラブルのマリウス役とか、ロミオとジュリエットのロミオ役とかこないかな~と思ってます。よろしくお願いします関係者様!